キョンシー映画を作ろう
天満宮という神社がある。私は歴史には疎いので、通説や俗説をも信用しているかっもしれないけど、祀っているのは菅原道真で、実在の人物で最初にカミサマになった人らしい。
この人は、平安時代の官僚で、当時、政権を握っていた藤原一族の政敵であったらしい。それで左遷されてしまい、結果として藤原一族が実権を把握した。
当時は怨霊信仰が盛んであったらしい。何か悪いことがあると、道真のタタリじゃーというようになり、祟らないようにカミサマにしてしまった。
ところが、菅原道真というのは、教養人であり人々の尊敬を集めた。敵だから祟らないようにと反対勢力によってカミサマにされたんだけど、いつの間にか、エライからカミサマになったように思われている。このように、カミサマの性格を後で変えることもできるようだ。
中国にも、キョンシーというのがいて、生前に悪行を行った人は、死んでからも、人の脳みそを食べたりして、暴れるらしい。ともかくも、死んで祟られると困る敵は、カミサマにしてしまうというのは、日本では昔から行われて来た風習で、平将門もカミサマになっている。
お話かわって、フランスのシラク大統領だが、ドイツと日本の安保理常任理事国入りに賛成だそうだ。フランスには、Les Nations Uniesとして戦った人だけじゃなく、ナチに協力した人もいたわけだから、国というコトバでミソとクソを一緒にしないだろう。だから、ドイツという地域にナチに反対する政権があれば、Les Nations Uniesに加えるのもいいし、相応の役割も期待するんだろう。でも、ドイツの首相がヒトラーをカミサマとして崇めれば、Les Nations Uniesには相応しくないと思うだろう。
シラクさんは日本の首相が、連合国が戦った相手をカミサマとして崇めているのを知ってるのか知らないかは不明だが、まあ、フランス人の多くは知らないから、どうでもいいことなんだろう。
でも、普通の感覚だとおかしいと考えるわけだ。日中国交回復時に、日本政府は「軍国主義者は日中人民の共通の敵」ということで合意したのに、今さら、カミサマ扱いするとは約束違反だと中国はいうことになる。
それを解決するには、日本には祟られたら困る相手をカミサマにしてしまう風習があるということで、キョンシー映画を作ればどうだろう。東条英機を先頭に、軍服を着たキョンシーがぴょんぴょんと行列をはじめる。まずは都庁を占領して都知事の脳みそを食う。さらに国の中枢機関を占領しようとする。それを封印するためにカミサマにしようと、日本の首相が拝むわけだ。
ただ、問題がひとつある。
フランス人も死ねば仏、イギリス兵も死ねば英霊というの日本に古くからある伝統的な宗教観だ。ところが、東条英機らをカミサマにしているところは、英霊と邪霊を区別しているらしいのだ。長州兵は英霊で会津兵は邪霊だそうで、邪霊はカミサマにしていない。近代に出来た新興宗教だから伝統的な宗教観には囚われていない。だから、今さら、祟られないようにカミサマにしてるという、伝統的な考え方は許してもらえそうにない。
Commentaires
まさしく、おっしゃる通りなのだと思います。
「恨みを抱えて死んだ者の霊が祟って、生者に禍をなす」という考え方から演繹するのであれば、味方同様(あるいはそれ以上に)敵方の戦死者を丁重に扱うのでなければ、整合性が取れませんよね。
そして、もうひとつの問題点は、(私がそうだから言う訳じゃありませんが)日本国民の全員が必ずしも神道の信者ではないだろう、という事です。
Rédigé par: 非国民 | 01/05/2005 23:57
すみません。この話にはインチキかも知れないことがあります。
まず、怨霊信仰というのは平安時代まではあったようなのですが、中世以降もあったののかは疑問なので、それを近代に持ち込むのが妥当かはわかりません。
もうひとつ「英霊」というのは、近代の概念だと思います。ですので、死ねば云々というのは、単にダジャレが書きたかっただけなので、コトバとしては伝統的なものではないでしょう。
なお、ついでに言っておきますと、エホバの証人(since1870)を「キリスト教」と言うと、たぶん、怒るキリスト教信者がいると思います。
Rédigé par: 南郷力丸 | 02/05/2005 00:18
なるほど、そりゃそうですね。
「神道の信者」という類型化は、いささか安直だったかと、納得。
Rédigé par: 非国民 | 02/05/2005 05:58