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06/11/2005

大峰山への借りは返したい

 大峰山についてである。女人禁制を続けている大峰山への登山を目指す性同一性障害を持つ人らのグループが、結界門前で地元住民約100人と議論したそうである。で、そのメンバーの女性ら3人が登山を強行したらしい。
 結論から言えば、大峰山は女人禁制でいいと思う。
 もちろん、女人禁制を維持する合理的な根拠はないと思う。修験道の聖地であり、1000年以上前の修験道の考え方の上から女人禁制としたのだろう。宗教的な理由だから、その寺の境内なり、信徒の土地であるなら、どんなルールを設けようが勝手だ。登山道が修験道によって造られたのなら、その道を使用を禁じるのも合理的だ。
 しかし問題は、大峰山には、修験道と無縁な登山客も自由に出入りしており、さらにはパブリックな空間もあるということだ。だから、いくら修験道の聖地であるとしても、それは修験道が決めたことであり、修験道に無縁な人にまで、パブリックな空間への立ち入りを指図することはおかしいのだ。修験道の人たちが大峰山寺への立ち入りを禁じることはできても、パブリックな空間による登山自体を禁じるのは合理的ではない。
 登山を目指す人たちもそれはわかっている。だからこそ、イヤミとしかいいようのない、合理的に回答が出来ないような質問をするわけだ。
 にも関わらず女人禁制でいいと思うのは、日本の社会は修験道に対して贖罪すべきであるからだ。
 日本の宗教の伝統の最大の破壊者は明治政府だった。国家神道という新興宗教をでっち上げ、邪魔者は破壊しようとした。廃仏毀釈もその過程で起こったものだ。そして、最も破壊されようとしたのは修験道だった。修験道は、古来の山岳信仰に仏教、さらに道教や陰陽道などが集合して成立したものである。
 明治時代にでっちあげられた国家神道にとって、よほど日本の伝統的な宗教観は邪魔であったのか、修験道を破壊しようとし、修験道の寺は強制的に「神社」にされていった。
 だから、大峰山の頑なさには、時代や社会に対する警戒心というかトラウマのようなものを感じる。はたして、修験道の人たちや信徒達がそのことを意識しているのかはわからない。ひょっとしたら、信徒の中には、修験道を破壊しようとした国家神道の残党である神社に身内が合祀されていることに平気な人がいるかも知れない。
 でも、時代や社会というものが、修験道を破壊しようとした歴史があるのだから、その贖罪の意味で、時代や社会に無縁である場所を、時代や社会が修験道のために提供してもいいと思う。リクツではなくて礼儀としてだ。それで不利益を被る人がいるわけではないし、「普通じゃない」場を確保しておくことが、全てのパブリックな場を「普通」にしてしまうより健全なような気がする。その「普通じゃない」ことを担保する理由として、かつての誤った「普通」の被害者であることは適切なものだと思う。
 だから大峰山には、パブリックな空間を含め、修験道だけの論理を認めてもいいと思うのだ。女性で修験道の修行をしたい人とかもいるかも知れない。ならば、修験道内部での教義上の問題として女人禁制について論議すればいいと思う。女人以前に「時代や社会の論理」や「普通」を入山禁止にしてもいいと思う。
 なお、個人的には女人以外に入山を禁じた方がいいと思う連中がいる。修験道を破壊しようとした国家神道のでっち上げた新興宗教に、社会を代表する役職にありながら、今なお参拝するような連中だ。

追記
 なお、「女人禁制」を撤廃しようとする時代や社会の動きとして最大のものは、明治初期の太政官布告であり、もちろん、修験道を破壊しようとする目的だった。
 どのような正当な論理からであっても、「女人禁制」の撤廃の要求が、同じ目的に受け取られても不思議はないと思う。包丁で殺されかけた人は、料理人が使う包丁にさえ恐怖を覚えて当然だ。

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Commentaires

TBありがとうございます。

あちこち男子禁制の処はないか探したいと思っています。

Rédigé par: たけざき | le 12/11/2005 à 17:51

 男子禁制は、生物的性差に基づいたところしか、あまり思い浮かばないですね。。。。赤い鼻緒のぞうりの上とか?(ごまちゃんの紹介文で思い出した)

Rédigé par: 南郷力丸 | le 12/11/2005 à 23:16

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