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05/11/2005

ボツネタ

 ここ2年ほど、やっていた「内職」で、結局、ボリューム的にも内容的にも問題ありで原稿にはしなかったが、途中まで調べたことがある。他に使い途もないので、調べた過程でも書いておく。
img007 元々の出発点は、世界中で鳩を食べるのに、なぜ日本じゃ、あまり食べないのかという疑問だった。
 ところが、鳩だけではない。世界中で食べられて、日本に豊富にいるのに、なぜか、あまり食べられない食材が他にもいた。それがカエルなのだ。
 日本で最初にカレーが紹介されたのは、明治の初期の1872年、「西洋料理通」と「西洋料理指南」というレシピ集だそうだ。そのうち「西洋料理指南」では具材として、鶏、海老、鯛、牡蛎、赤蛙など。。。をあげている。この頃は、蛙というのは食材として一般的だったんだろうか。
img008 さて、「アカガエル」である。厳密に言うと「アカガエル」という種はいない。「ニホンアカガエル」「ヤマアカガエル」「タゴガエル」などを総称して「アカガエル」と言っている。
 さらには、カエルの分類上「アカガエル科」に属するカエルがいる。学名が「Rana 何ちゃら」なので、「ラナ」族という呼び方もする。この「ラナ」だが、いわゆるアカガエルの他、ツチガエル、トノサマガエル、ウシガエルも、この「ラナ」一族に属している。カエルらしいカエルの一族なのだ。
 さて、カエルはフランス料理では「グルヌイユ」、中華料理では「田鶏」と、世界的にも一般的な食材なのだ。
 食べるカエルというと「食用蛙」という別名で知られるウシガエルがいるが、北アメリカ東部の原産だ。ロッキー山麓男声合唱団、マウントロッキーのフロッグコーラス、んもうーん、んもーん。なのだ。それが世界に移出されて広がっている。日本には1918年に移入され、さらに戦後になって飼育されていたものが逃げ出し、各地で自然繁殖している。さらには、このウシガエルの餌として移入されたアメリカザリガニも放棄されたり逃げ出したりで、ウシガエル以上に日本の各地で繁殖しているのだ。
 だから、明治時代のレシピにウシガエルが載るはずもなければ、「グルヌイユ」や「田鶏」も、ウシガエルではなかったはずである。
 では、どんなカエルなのか。
 調べてみると、グルヌイユで高級品とされるのが、グルヌイユ・ベルトだという記述があった。「Grenouille verte」、日本語にすれば「緑のカエル」である。つまり「青蛙」だ。
 グーグルのイメージ検索してみると、「緑の蛙」のアカメアマガエルも混じってはいるが、水辺に棲むカエルで、背中の中央に色の薄い線、両側に隆起があり、身体中に斑点があって、日本のトノサマガエルよく似たカエルが出てくる。どうも、Rana esculenta、 Rana lessonae、 Rana ridibundaがグルヌイユ・ベルトの宗家らしい。
 日本で「アオガエル」というと、指に吸盤がある樹上性のカエルである。でも、フランスのグルヌイユ・ベルトは、トノサマガエルに似た「ラナ」一族のカエルのようである。
 さて、「田鶏」である。同じようにイメージ検索しても、ウシガエルしか出てこない。中国でも、近年はウシガエルが移入されているようだからだが、本来の田鶏は違う種類のはずだ。そこで日本語のページしか出てこないことで、気が付いた。田か鶏かが日本独自の字なんだと。で、「田鷄」調べた結果も似たようなものだが、ここで「鷄」の簡体字が「鸡」だとわかったので、再度、「田鸡」でイメージ検索、やっぱり生ガエルが出てこない。
 ともかくも、調べていると、浙江大学生物活性物質研究中心での「石蛙」の人口養殖というページを発見した。「石蛙」別名「石鸡」は中国南方諸省の深山密林の渓流に住んでいるらしい。で、中国最大の食用蛙で、中国人民が食用にした歴史は悠久らしい。ただし、最近では中国の肉用の蛙の生産のメインは牛蛙(アメリカのカエル?)になっているけど、肉の率や品質、味は「石蛙」に及ばないとか。それで石蛙の天然種は希少であり、人口養殖に成功したそうな。
 ともかくも、この「石蛙」は「棘胸蛙」とも言うらしく、学名は「Paa spinosa」で「ラナ」一族らしい。でも、学名は「Rana」ちゃいまんねん「Paa」でんねん。
 もう一種、トラフガエルというのも食用にしたらしい。ただし、今では国家二級保護動物で、広東省のレストランに1400匹を出荷した湖南省の人が懲役十一年になったとか。やはり、「Rana tigerina」で「ラナ」一族である。イメージ検索すると、日本のツチガエルに似ている。中国南部からインドに生息しているようだ。
 さて、どうも「田鶏」の本場は広東省らしい。で、ついに、広東省野生動植物保護管理弁公室のサイトで、「別名:田鸡」の画像を発見した。「別名:田鸡」がテキストでなくイメージなのだ。検索で発見できないはずだ。
img009 「黒斑蛙」である。何、「黒斑」? ケロリストならピンと来る。学名が「Rana nigromaculata」。何のことはない、日本にもいるトノサマガエルなのだ。
 結局、「グルヌイユ」も「田鶏」も、トノサマガエルそっくりか、そのものだったわけだ。
 さて、「田鶏」を調べていて気になったのは、中国の食用蛙が「ウシガエルではなく、アカガエルの一種で田鶏と言う」という内容の記述が方々で見られること。ここでの「アカガエル」が何か不明なのである。
 「ラナ」一族であるとするなら、ウシガエルも属するわけだから、元々「ウシガエルではないアカガエルの数種」であったが、今ではウシガエルも「美国大青蛙」として含んでいる。日本で一般に言う「アカガエル」の概念なら、田鶏のトノサマガエルも石蛙も虎斑蛙も除外される。
 ということで、結論である。
・「グルヌイユ」も「田鶏」も特定の種ではなく、トノサマガエルに近い「ラナ」一族らしい。
・たぶん、ウシガエルよりも、トノサマガエルの方が美味い。

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Commentaires

両方食べたことはないんですが
ウシガエルとトノサマガエルって
松村 邦洋と朝青龍くらいの違いがあるような気がします。
・・・人によっては松村の方が霜降りでうまい、という意見もあるかも知れないけど。

関係ないけど、とあるチャットで
外人(たぶんアメリカ人)に「おまえはコリアンか?」って
言われたことがあるんですが、そのときに
「イヌを食うやつらだ」と言われたんです。
韓国料理で犬は食べないと思ったんですがどうなんでしょう?
中国と混じっちゃってるのかな?
そのあと日本人だって分かったら「Ramen Noodles」って言われました・・・。

Rédigé par: しのぶ | le 05/11/2005 à 14:40

 カエルは「コシとコクはあるが、あっさりしていて美味いですわぁ」(ラナ奥様インタビュー)と言われてるんですが、やっぱり食べ比べるしかないですね。
 近所に、牛も殿様もいるんですが、野良は農薬や汚水の影響が心配なので、やっぱり産地を選びたいんですが、殿様は流通してないし。。。。来年、養殖しようかな。

 それで、犬だけど、韓国でも食べますよ。十二支のうち、トラ、タツ以外は、東アジアじゃ普通の食べ物で、例外的に食わない地域がある感じですね。
 アメリカ人に「なっとおんりぃRamen Noodles、ばっとるそ〜クジラ」とか言ってやりゃいいのに。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 06/11/2005 à 02:49

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