スウィングガールズ
DVDの感想を書いているが、書いていないものの方が多い。それなりに面白かったとか、つまらなかったものは書いていない。たぶん、自分で特にいいと思ったもの、特にひどいと思ったもの、つまり、特に印象的なのだけを書いている。洋画はほとんど感想を書いていないのは、そういう理由がある。
さて、気に入って何か書いておきたいと思いながら、書きかけて止まっていたのが「スウィングガールズ」について。「気に入った。でも、リクツじゃ褒めようがない」というのが正直な感想。
陳腐で、ご都合主義としか言えない展開だし、エピソードも整理されていない。でも、なぜか、話の世界に馴染んでしまう。
俳優が特訓してジャズの演奏をする。かなり昔、20年くらい前だけど「上海バンスキング」というお芝居を見に行った。やはり俳優がジャズを演奏した。オープニングは客席に俳優が散って演奏していた。それだけではないが、この舞台は今まで観た演劇のベスト10には絶対入る。生のコンサートとメディアに乗った音楽では費用が10倍以上に違う。それでも、人は生のコンサートに行く。生だからこそ、俳優が演奏する意味があるわけで、別録音が可能な映画で、俳優が特訓して演奏しましたって言われても、そうですかってだけ。そこに意味があるとは思えない。でも、やっぱり、コンサートシーンには浮き立ってしまった。
山形の置賜が舞台だ。日本全国、どこの風景も似ている。日本の風景だなってわかる。でも、似ているようでも、地域地域の特色はある。同じ山形でも、内陸と庄内はどこか違うし、置賜と村山だって違う。せっかくの置賜なんだから、もっと風景を使えるだろうにと思ってしまう。それは、もっと絵になる背景もあるのと同時に、彼女たちがジャズを始める動機のひとつ、日常からの飛躍をシンボリックに表現するように、盆地地形が使えないものかと思う。
コトバもそう。山形に女性の知人は何人かいる。庄内と村山が多い。山形弁で喋ってくれるのは村山の人で、主人公達より渡辺えり子に近いけれども、彼女は村山弁で考えて村山弁で喋るのに対し、この映画だと、いかにも翻訳した山形弁という感じで、何か不自然なのだ。そういう「置賜」へのこだわりが中途半端な気がする。
かように何か書こうとしても、不満しか出てこない。竹中直人のセコセコした芝居も、いい加減にしてくれという感じ。でも、この映画は気に入ってしまったのだ。「ぢょしこうせい」の魔力としか言いようがない。特に、ペットとトロンボーンとドラムの子。
Commentaires
ペットとトロンボーンは数人いますが、どの子だろう?眼鏡をかけたトロンボーンの子はこの間まで朝のNHK連ドラのヒロインをやっていた子だよね。僕はこの子が一番好きです。
ドラムの子、というのが南郷さんらしい(^^:
Rédigé par: 龍 | 14/11/2005 07:30
集金人を追い返してるし、NHK見ないし、わからん。
ペットの子というのは、ネズミの子ね。ドラムの子は紙相撲してたり、自転車を転落させたりのボケ味がいい。
主役は物語の進行係、準主役が物語を豊富にするという原則どおりに、主人公と一緒に行動する方の子らって、最初はちゃんと性格付けされていくんですね。でも、途中から、個性が消えていくのが残念。
Rédigé par: 南郷力丸 | 14/11/2005 20:22
トラックバックありがとうございました。
トロンボーンの子、いいですよね。
「ぢょしこうせい」の魅力といえば、「櫻の園」をまた観たくなったなぁ……。
Rédigé par: yamabetoyomu | 05/12/2005 11:15
ただ、最後の待ってと言ってチューニングするトコロ、あれじゃカッコ良すぎなんで、トランペットの子あたりの方が意外性があって良かったような。
Rédigé par: 南郷力丸 | 06/12/2005 21:22
いろいろとTBありがとうございました。私もこちらの記事に気づきましたのでTBさせていただきました。ドラムの子は私もお気に入り。サントラ盤のCDまで買ってしまったくらい気に入ってます。素人くさいけどこの魅力。
「上海バンスキング」をナマでご覧になっているなんて羨ましい。私が観劇していなかった時期の舞台です。映画にもなっているけれどナマには負けるだろうなあ。でもDVD借りて観ようかなとは思っている作品です。
Rédigé par: ぴかちゅう | 31/12/2005 13:37
「上海バンスキング」は短期間に2度、映画化されてたと思います。松坂慶子の方のDVDは探せばあるでしょうけど、吉田日出子の方は入手難、そもそもDVD化されてないかもしれません。
Rédigé par: 南郷力丸 | 31/12/2005 13:46