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27/12/2005

男たちの大和

img052 DVDじゃなく、劇場映画である。三丁目もキングコングもSAYURIもやってるのに、なぜ「男たちの大和」かと言えば、あの「北京原人」の監督だから、ウパーな作品かもしれないと思ったから。。。。。じゃなくて、たぶん、動員数上位に位置するカラクリの所以だと思う。
 さて、歴史にifはない。でも、つい「あの時に止めておけば」と言ってしまうことがある。
 太平洋戦争もそう。開戦の何年も以前に遡ってそうなんだろうけど、止められずに、負けとわかってもズルズルと犠牲者を増やしていった。
 大和もそう。大艦巨砲時代の遺物で、後に「世界三大バカ」とも「天下の三大バカ査定」とも言われ、結局、デカイだけの役立たずというのが後の評価だ。
 そして、佐藤純彌監督。あの「北京原人」の前は「超能力者 未知への旅人」。この2作はあまりに強烈だ。もうすぐ公開される「単騎、千里を走る」に高倉健が出演するに至ったエピソードに出てくる「君よ憤怒の河を渉れ」だって撮ってるのに。
 そして、上演前の話題と言えば、制作と主題歌のしゃぶしゃぶコンビ。この人たちも「あの時に止めておけば」のクチだ。角川春樹の日本映画への功績というのはかなりのもんだと思うが。
 そういう「あの時に止めておけば」が大集合。逆境の中で起死回生の作品となるかの、いわば「特攻出撃」のような映画なのだ。
 さて、観てまず感じるのは、何か散漫な感じがするということ。一応、大和に乗り込んだ少年兵が60年後に、当時を回想するという形式なんだけど、何人かのエピソードを並列に繋いでいて、それらを繋ぐシンが見えないのだ。そのシンにしたかったのは、「あの時に止めておけば」死なずにすんだ人たちの「死んだ意味」であり、生き残った人の「生きた意味」なんだろうとは思うのだが。
 「死んだ意味」を「愛する人を守るため」とするような欺瞞は描かれていない。映画の中でも「愛する人」は死んでしまうし、実際、大和の特攻出撃は何の役にも立っていないわけだし。映画の中では「死んだ意味」など出てこない。つまり「ああいう無意味な死に方だけはしたくない」と思わせるのが、唯一、死んだ意味だろう。そういうことが言いたいのかなとも思うのだが、ヒントになるような台詞を言うのが長嶋一茂で、戦闘シーンが嘘くさいんでは、実感として伝わらない。
 実物大のレプリカを作ったそうだが、壊れないのだ。壊れる前のシーンとパーツが壊れたシーンを煙や炎で繋いでいるだけ、その間には水兵が飛ぶシーンも挟まるのだが、壁や床はもちろん手摺さえ、壊れるシーンが映らずに、炎と煙と水滴でゴマカしてるので、ゴチャゴチャしてるだけで、やたら嘘くさい。
 機銃も、撃っても前後せずに銃口で火花が散るだけ、たまに前後するのも混じるから、余計にチャチに見える。実写のニュースフィルムを混ぜるもんだから、より鮮明なセットシーンが嘘くさい。米軍機が映っても、乗組員と同じカットに映らないので、緊迫感が伝わらない。「敵機は1秒に160mの早さで突っ込んでくる」という台詞がある。映画なんだから、台詞で説明するだけですますなよ、絵でも感じさせる工夫をすべきだろと思う。
 だから「やられました、沈みます」という「記号」としての戦闘シーンという感じで、臨場感がなく、「死」というのものの「重み」が伝わらない。ああ死んだのだなぁ、と思うより、ハイ、カットで起き出すんだなぁ、と思ってしまうという感じといえばいいのか。
 映画を通して、何かメッセージを伝えたかったのなら、「何が伝えたいの」という感じだ。かといって、ドラマがあるわけじゃなし、ウパーほど笑えもしない。鈴木京香が仲代達也の船に乗るに至る、あまりに強引な「偶然」の組み合わせは、けっこう笑えるが。
 トクをしたのは中村獅童か。唯一、キャラが立っているし、寺島しのぶのアシストもある。しのぶちゃん、出たシーンでちょっとよろける。それだけで、恋人に逢えるので急いでいるのはもちろん、それまでの恋人との関係を想像させるという表現が出来るし、やっぱり表現力はすごい。獅童、映画に出まくってるのもわかる。嫌味になる手前で自分を立てるのがうまい。歌舞伎じゃたいした役にはつかないし、やっぱり、目指すは叔父さんか。
 なお、この獅童は軍の病院を抜け出して、大和に密航し、沈没後は駆逐艦に助けられたようだが、そんなことが出来たのかとか、そういう謎を置き去りにしちゃうあたりや、製作費のコストパフォーマンスが不思議なのは、やっぱりウパーなのだった。
 なお、本田ウパー博太郎も出てる。どこに出てたか気付かなかったけど。


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Commentaires

なぜ「男たちの大和」かと言えば、寺島しのぶが出ているから・・・と言ってほしかったにゃ、と最後まで読んで思いました。

Rédigé par: EMY | le 28/12/2005 à 01:14

 だって、寺島しのぶは出てきてから「あ、出てるんだ」って気付いたんです。本田ウパー博太郎にいたっては、最後のキャストのロールで知った。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 28/12/2005 à 10:15

 しのぶさん、今日(12月28日)が誕生日らしい。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 28/12/2005 à 12:55

私のことを知ってる人がこれを読まないとも限らないので念のため。
私は5月生まれです。

Rédigé par: しのぶ | le 28/12/2005 à 13:18

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