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07/01/2006

説得力か納得力か_3

 金沢の人や高知の人は、東京か関西か、どちらに歌舞伎を見に行くことが多いだろうか。
 以下の数字はちゃんと調べたものではない仮の数字なので、リクツだけを読んでほしい。
 東京での歌舞伎は、歌舞伎座の他、国立劇場や新橋演舞場、明治座とかで行われている。そして、昼夜別のトータルで、年間に延べ150万席分の公演が行われている。関西では南座と松竹座で、年間に延べ30万席分の公演が行われている。
 金沢・東京間は約300kmであり、金沢・関西間は約200km。高知・東京間は約600km、高知・関西間は約200kmである。
 引力は、質量に比例し、距離の2乗に反比例する。引力=質量/距離^2である。
 だから、金沢では、東京と関西の引力の比は、150/300^2:30/200^2で、20:9になる。高知の場合、東京と関西の引力の比は、150/600^2:30/200^2で、5:9になる。
 つまり、歌舞伎を見に行くには、金沢では東京へ行くケースが関西の倍以上であり、逆に高知の場合、関西の方が東京より倍近い。

 以上は全くのウソである。だって「引力=質量/距離^2」というのは、重力に関する式であって、都市や劇場の引力に応用できるなんて、誰も証明していない。
 ところが、品物がたくさんある店ほど魅力がある、芝居を見に行くなら公演を多くやってる都市の方が魅力がある、という実感が誰にでもある。だから、トータルの席数が多い方が観客の吸引力があるだろうと誰でも思う。だからといって「比例する」わけでもないのに、納得してしまうことがある。
 さらに、遠いところほど行きにくいという実感もある。だからといって「反比例」するわけでも「2乗に反比例」するわけでもない。でも、引力方程式という「科学的」なものでは、2乗に反比例しているので、やはり、そんなもんだと思ってしまうのである。
 だから、この試算には「説得力」がないにも関わらず、「説得されてしまう」人もあるのである。過剰な「納得力」があるだけなのだ。

 さらに、実際に金沢や高知での実態を調査したら、距離の2乗ではないにしろ、距離の1.8乗にすると、この式通りの結果になってたとする。
 この段階で、初めて「説得力」が発生する。事実と仮定が一致するからだ。だから、松江の場合はどうかという予測に使うことができるだろう。
 けれども、それは「たまたま」そういう式にあてはまるというだけのことであって、引力=延席数/距離^1.8という式が正しいと証明されたことにはならない。この段階で「説得力」を持っているのは「事実との整合」であって、式自体ではない。式を信用するのは、やはり過剰な「納得力」なのだ。

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