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01/01/2006

亡国のイージス

img055 ザ・ロックのパクリらしいというので、見てみた。ザ・ロックのプロットというのは、いくらでも膨らませようがあると思うし、別にプロットを借りてきたって、違う面白さを見せてくれればいい。
 でも「違う面白さ」がほとんどないとなると、あまりに惨め。
 当然、ハリウッド映画のような金はかけられない。だから、スペクタクル性はあきらめてしまうのは当然だろうし、セコイところで面白さを追求するしかないのはわかる。でも、そのセコさというのが、日本の観客、というかミリオタならこの程度で喜ぶんじゃないか、という観客を小馬鹿にしたようなイージーさなので、笑えもしない。それとも、私にはわからない高度なギャグなのか。
 ザ・ロックの面白さのひとつはニコラス・ケイジとショーン・コネリーの対比。主役がダイ・ハードの ブルース・ウィリスのような「スーパーマン」じゃなくて、ある種の「スペシャリスト」だから弱虫と爺さんという設定だった。一方、こちらで対比しているのが、 真田広之がマイホームパパで、勝地涼が両親の死が原因で殺人への抵抗がないという点。一応、 真田広之が最後には中井貴一を殺し、勝地涼が撃たれるという一種の逆転に至るのを見せたいのだろうけど、その対比をきちんと見せずに「オマエは実戦を理解していない」「オマエは人間を理解していない」という漫才だけですまし、この漫才だけで勝地涼が変わるのはイージーすぎ。そして、多くのシーンでは、この2人の役割が入れ替わってもいい、つまり対比で浮かび上がるはずの個性が薄い、だからキャラクターに魅力がない、というわけだ。
 ちなみに劇中の寺尾聰の叛乱の理由も家族というか息子。それが勝地涼を救うことになる理由にもなるのだが、行動原理を「任務」と「父子関係」だけに帰結させちゃってもいいんだけど、それならば、もっとその関係や葛藤も描かないと、「家族」が理由なら観客も納得するかというイージーさにしか思えない。それとも、私にはわからない高度なギャグなのか。
 そして、中井貴一に至っては、行動のなぜの説明がないまま。そもそも寺尾聰に接近した目的は何。東京に毒ガスを撒く理由は何。たぶん、一味の女性が殺されたというのが後半の行動の理由かとも思うのだが、じゃあ、この女性は何者。女性兵士はエロスとタナトスの合体の象徴性として使う意味はあるだろう。でも、水中で息継ぎのためにキッスする程度じゃエロくもなければオソロシクもない、格闘ゲームで女性キャラが人気なんで、出しておけばヲタ連中が喜ぶだろう、そういうことかと思う程度の存在感。それとも、私にはわからない高度なギャグなのか。かように敵役の方も、元祖のエド・ハリスに比較して薄っぺらなのだ。
 ラストシーンは、寺尾聰が暴走するイージス艦を爆破して止める。救助された真田広之が、なぜ、それを知ってたのか、もしくは知らずに脱出したのかはわからない。どっちにしろ都合よすぎ。そしてチャチな爆発シーンになるわけだが、逆効果になるようなシーンを入れずとも、爆発させようというシーンと墓参りのシーンがあればわかるだろう。スペクタクルシーンをあきらめたのなら、中途半端な未練は不要だ。それとも、私にはわからない高度なギャグなのか。
 ところで「イージス艦」についてのいい加減な説明の意味は何なのだろう。
 イージス・システムというのは艦隊だけを防衛するシステムであり、「国」を防衛するものじゃない。艦隊の「無敵の盾」だ。だからこそ、そのイージス艦による攻撃には反撃が難しく、このストーリーが成立する。かくも攻撃的な武器であるからこそ、防衛のためには先に攻撃すべきというリクツにも関連するわけだし、攻撃のできない国家が持つことについて、寺尾聰の息子が問題提起をする意味があるわけだろう。それで、その使用に対する論文が都合が悪いということにもなる。ところが「盾だから専守防衛の最も具体的な形である」という一節が、イージス艦の説明に挟まっているために、イージス・システムの予備知識の乏しい私は、この論文が何が言いたくて、何が問題なのか、かなり混乱してしまった。盾で守る対象が攻撃力か国かを混乱させるような書き方なのだ。こういう観客を混乱させるようなフレーズを加え、何の意味があるのだろうか。私にはわからない高度なギャグなのか。
 ひょっとして、この映画は「オマエはギャグを理解していない」と私に言いたいのだろうか。

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Commentaires

こんにちは!コメ、ありがとうございました!
あたしには、原作くらい読んでから見ろyo!
と言っているように思えました。
ミリオタじゃないから、あの対艦戦は、すごい迫力でした。
またよろしくお願いしますね。

Rédigé par: 猫姫少佐現品限り | le 14/01/2006 à 15:19

 映画は原作とは別物ですからねぇ、映画の中で完結してないと、何だかなぁと思います。
 その代わり、原作と全く別物でも、文句は言いません。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 14/01/2006 à 20:13

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