大統領の理髪師/효자동 이발사
松竹新喜劇のような人情喜劇。
昨年に見て、素材が目新しいといっても、予定調和の世界で陳腐な感覚は否めないので、書かずにおいたのだが、よくできた喜劇だなぁと思うので、やっぱり書いておこう。
韓国の人にとっては陳腐という感覚はないかも知れない。中世社会から日帝36年という韓国には「近世」演劇がなかった。その喪失感を埋めるドラマなのかも知れないと思う。
主役は、善良、だけと人並みの欲も打算もある理髪師。もう一人の主役がパク・チョンヒ大統領。パク・チョンヒと言えば教科書的には「開発独裁」。この時代の権力者と市民の関係を、近代よりもむしろ近世的な関係、いわば町人と殿様として描いたことが、わかりやすくて安定した展開になっていると思う。
理髪師が聞いていることを全く無視し、政権安定のための危機を演出しようとする大統領。政治活動にも関わるのに大統領の理髪師になったことを最上の名誉と思い、聞いた話も別世界の話とひたすら忠誠を勤め、息子を歩けなくしたのも、この大統領が原因と知っていても認めたくない市民。この感覚は、中世的というより、やはり、町人とおらが殿様の感覚だろうなと思う。現代のヘアメイクさんなら、聞いた話にビックルしてジンジャエールですまさないと思う今日この頃なのだ。
けれども、大統領が替わったからと次の大統領に素直には従わず、ボコにされる。この理髪師の中では近世から近代に時代が替わったのかも知れない。
Commentaires
ああ、そうか。松竹新喜劇ですか(って、見たことないんだけど、藤山寛美さんですね)。半島の政治をよく知らない私にもわかりやすいお話でした。
現代のヘアメークさんは、パクリのネタ漁りをする以外は、いつヘアメークのお仕事をしているんだろうと思う今日この頃。
Rédigé par: EMY | 09/02/2006 17:45
半島の政治をよく知らなくてもわかるということは、つまり、政治的なものは背景でしかないってことなんでしょうね。
Rédigé par: 南郷力丸 | 10/02/2006 06:57