天然ボケッとモンスター
多聞院日記といえば歴史好きなら誰でも知っているだろう。その天正10年5月18日の記述。「於若宮拝屋加賀国八才十一才ノ童ヤヽコヲトリト云法楽在…一段イタヰケニ面白〃〃…」後の阿国じゃないかと様々に解釈された「やゝこ踊り」の記述だ。幼気な子供の芸が人気を得たわけである。そして阿国歌舞伎から、遊女歌舞伎、若衆歌舞伎、野郎歌舞伎と変遷するわけであるが、別の幼気な芸がある。子役は達者ではいけない。台詞は棒読み、所作はダンドリだけ。上手な芸は簡単にやってるように見える。下手な芸だと「一生懸命やってる」感がとても強調される。それが可愛いといかなる名優と共演しても人気をさらってしまう。
このような、芸の未熟さより「健気」を愛でるという文化が400年以上の伝統を持って、いやもっと昔からあるかもしれないが、日本文化にあったわけだ。たぶん近代の新興宗教を日本文化の代表のように扱う新聞社にいたんじゃわからないかも知れないけれど。
さて、現代。歌も上手でダンスも素晴らしく、それだけでエンターテインメントの域に達する現代的な娘だと、ある種の近寄り難さで、人気を得るのが難しいことなど誰でもわかるだろう。
さて、このエントリーは愚かな老人を揶揄するのが主目的ではない。それにインスパイアされた、ちょっと旬をすぎたかも知れない芸能ネタだ。
売れているアイドルタレントとは逆のケース。宝塚歌劇団入団3年目にフィナーレのエトワールという歌唱力があって、宝塚だから当然ダンスも芝居も出来る。そういう歌手がブレイクするとしたら、よほどの可愛さがないといけない。地声がアニメ声とか天然ボケキャラでも足りない。才能があるのも悩ましい。しかし、ようやく最終兵器を得られそうな歌手がいたのだ。
最終兵器というのは「例の化け物」だ。詳しくはこの記事。
番組では共演者がこの絵を見て「画伯」と呟いたそうだ。単にヘタだけではすまない、ある種の魅力が例の化け物にあることは、絵心があればわかるだろう。クサナギツヨシらが絵のヘタさを競う深夜番組があるが、そこでのヘタな絵は話題にもならないが、この絵がこんな扱いをされるのはその魅力ゆえだろう。おスギのピーコよりはるかにいい。
未確認だが、以前は描いてる過程を写さずに、完成後に差し替えていたという。余計なことをしていたものだ。未就学児相手だから番組としてはアイドル的人気は不要だろう。けれども、彼女個人のプロモーションのためには、もっと早く彼女の弱点を露出させてあげるべきだったろうに。
抜群の歌唱力とダンスも演技も当然出来るはずのタレントだ。なのにヘタすぎるのに困りつつ健気に絵を描く、そんなシーンに民放なら飛びつくだろうが、なぜにこの局は回り道をするんだろうか。やっぱり金を払ってまで観るような局じゃない。彼女を観る機会を増やしてほしいし、そのためには、こういう記事とかで例の化け物がもっと出回ればいい。
だからキャプ画像を貼ろうかと思った。出所を示せば、この文の主題のために必要であって、公正な利用だ。番組について言及するのではなく、絵について言及するわけで、原画が撮影不可能な状況では模写という方法もある。先のリンク先はそうしてる。けれども問題があった。いずれの方法も著作権は侵害しないけれども、私が放送法32条の1の但し書き以下に違反していることになってしまう。
Commentaires
これについては、件の「ITみつを」さんが↓のようなことを書いてます。
ttp://d.hatena.ne.jp/ululun/20060605/web060605
南郷さんとは全く捉え方が逆で「欠点に対する嘲笑」だと書いてますね。でもコメ欄もはてブも「違うだろ」というのが多く、現在コメント欄閉鎖中だそうです。「はてブはそうじゃないけど、コメントは書き捨て」だからなんだそうです。口はうまいけど、ロジックは弱い人かも。
Rédigé par: コバヤシ | 11/06/2006 22:21
実は、最後の著作権の話は、当初のエントリーにはありませんでした。たまたま、弁償する時目が光る人経由で件の「ITみつを」さんのところを見て、追加したものです。
元々、ロジックには強くないのでしょうが、「嘲笑」に敏感すぎる方のようで、無理矢理感がただよいますね。
このエントリーもトラックバックしてるのに反映されないようです。コメント欄凍結も含めて、炎上しそうな時には引き籠もるというのは有効な方法でしょう。
Rédigé par: 南郷力丸 | 11/06/2006 22:46