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22/08/2006

くだんの件

 小泉首相が靖国神社に行った時のニュース画像で、小泉首相はモーニングを着用していた。その後に全国戦没者追悼式があるので、その都合だったのか。一方、案内役の靖国のスタッフは烏帽子着用で普段着だった。正装の場合は冠を着用する。
 普段着なのは靖国神社が「8月15日」に特別な意味はないという見解だからだろう。靖国にとって8月15日が特別な日でない理由はおそらく2つある。ひとつは「祭祀上」の理由であり、特別な日とは例祭の日であり、その日であれば、スタッフは正装するんだろうが、そうではない。
 もうひとつは「世界観」による理由だ。靖国のサイトに「終戦記念日は4月28日」とする記事が掲載されている。講和条約発効の日が終戦の日だという論法で、「松平の子」もこの論理で、東條らも終戦前に処刑されたから戦死だということになる。
 ところが、靖国にとって特別な日でなくても、行く側にとっては、特別な意味があるようだ。ひとつは「戦没者を追悼し平和を祈念する日」だ。1982年4月13日鈴木善幸首相の時に「先の大戦において亡くなられた方々を追悼し平和を祈念するため」設けられ、全国戦没者追悼式の根拠となっている。もうひとつはお盆だ。伝統的に死者を供養する日になっている。
 小泉首相の談話では、行った理由がこの「戦没者を追悼し平和を祈念する日」の趣旨と同じなのだ。ところが靖国自身には「戦没者を追悼する」ことも「平和を祈念する」ことも、その本来の「御神徳」にない。
 さらに、かなりの人たちは「お盆」ではなく「終戦記念日」と言いつつも、そのメンタリティにはお盆と変わらないものが見られる。
 どうも、この日に靖国に行くという人には、靖国の「教義」を歪めて解釈している人が少なくない。といっても、その教義自体も明確ではない。
 本来の神道というのは、世界観ではアニミズムを基本に、祭祀ではシャーマニズムを基本に、仏教、儒教、道教など外来の宗教などの影響によって発展してきたもので、特に厳密な教義は存在しない。一方、国家神道は、伝統的な宗教観を「迷信」と否定し、祭祀上に伝統的な形式だけを取り入れて作られたもので、世界観は異質のものだ。ところが、既存の仏教や、キリスト教禁止に反対する国外への妥協のために、あえて世界観としては、「国体」に関する以外は多様な解釈を許容していた。
 だから、同じように教義は厳密でないとしても、意味は全く違う。伝統的神道で「全体におおらかな体系」であったのが、国家神道では「部分的にしか教義がない」ということだ。
 その上に、皇国史観が否定された戦後には、あえて靖国自身も「国体」に関しての教義も明確にすることを避けているようだ。例えば、靖国のサイトでは、幕末から西南戦争に至るまで全ての戦死者を祀っているような誤解を誘導している。
 靖国自身は合祀したら一体の神霊となり、個々人の削除は出来ないという姿勢だ。石原慎太郎は靖国に行った際は、心中で東條だけを除外して参拝しているらしい。その東條の孫という人も、東條が合祀されているのが嫌ならそうしろと言っている。ということは、この人たちは、靖国の神霊を歪めて解釈し、参拝することを是認しているわけだ。
 戦争犯罪人の合祀を容認するが「松平の子」のような世界観を共有できない人の中には、とって付けたように「御霊信仰」だという珍説を持ち出して来たりもしている。
 靖国を嫌う人だけでなく、靖国を認める人の間でも、靖国は勝手に解釈されているということだ。
 8月15日に心静かに参拝したいという人がいる。一方でコスプレ大会をしている人がいる。お盆に静かに墓参りをする人もいれば、賑やかに趣向を凝らして盆踊りをする人がいるのと同じ構図だ。それぞれの靖国観が違うわけであり、それぞれ正当な理由があるのだ。
 こういうことを考えたのは、綾川亭日乗のエントリーあんとに庵備忘録のエントリーがきっかけだ。霊的世界や宗教として、靖国はそれ自身も、支持する人たちも、好き勝手に解釈をしていいるし、靖国自身がそれを許容というか推奨しているようでもある。同じ「靖国」というコトバで表現されるものの定義が違うのだから、話が通じる訳がない。
 つまり、文化としての靖国、精神的な存在としての靖国には実態がない。靖国自体にはあるのだが、その世界観を共有している人は僅かだろう。多くの人が語る靖国は、その語り手が自分の中で作り上げた、もしくは教義を勝手に歪めた「靖国幻想」ということになる。
 となると、靖国について語るならば、靖国自身の世界観を基準にするか、文化的精神的な要素を排除し、残った「事実」だけを基準にしなければコミュニケーションが成立しない。例えば、単独の「宗教法人」にすぎないとか、出来てから130年しか経過していないとかだ。

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