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28/09/2006

おいしくてもソースにならない

 7歳で豆腐屋に奉公に出され、戦争に取られたものの生還、原料がなく勤務先の豆腐屋は廃業していたが「おまえがやるなら、店をやる」と言われ、以来、豆腐屋一筋。現在は楽隠居の身だが、毎日、店の豆腐の試食は欠かさない。
 そう言う人の話は面白いかも知れない。もちろん、豆腐についての記述は大いに参考になるだろう。80年以上の人生経験には役立つ話があるかも知れない。
 でも、「豆腐屋一筋75年の人も、『論理というのは、四角四面で水くさいと思われがちだが、どんな分野やテーマにも使える』と述べているように云々」というように、なぜロジックが重要かという説明の「根拠」に、豆腐屋さんの主張を使うのには無理がある。自分で説明した上で「豆腐屋一筋75年の人は、このことをこう表現している」という「例示」や「表現手法」としての使い方なら効果はある。同じように、宮大工さんの言説は音楽批評の「根拠」には使えないが、自分の批評の検証や例示には効果がある。
 というのは、最近、知人が新しいblogを立ち上げたので、それを読んでいたわけである。その方の書くことは、意見は違っていても、なぜ違うかというプロセスが見えるからいいのだ。ところが、そこへのトラックバックやそこでのリンク先を読んでいて、頭を抱えたくなったからだ。
 日本と中国との文化比較をするなら、文化人類学の分野の研究や社会調査は根拠になる。でも小説家の意見は「補強要素」にしかならない。小説家は、題材へのリサーチはするだろうが、妄想を具体化する仕事であって、読者に受け入れられることで評価される。正確さによって評価される研究者や調査とは根本的に違う。
 正確さが評価される研究者であっても、数学者は数学分野に対してのみであって、文化論には、当てはまらない。もちろん、畑違いだから見当外れということではない。広く他分野の意見を集約する上では、豆腐屋さんや宮大工さんの意見と同様に傾聴に値する。けれども「根拠」にはならないよ、ということだ。
 私だって、司馬遼太郎の歴史小説が好きだったし、史料研究の精度も高度なものだろうと思うし、文化論についても、かなりの影響を受けている。けれども、歴史の話をする際の「根拠」に氏の小説を引用するのは愚かなことだと思う。
 こういうプロセスの間違いを犯すことで、かえって説得力が失われるということに、なぜ気付かないのだろうか。「皇室の専門家もいないのに皇室のことを決める」ことを批判する同じ文で、数学者の文化論を「根拠」とするのは、面白いことは面白いけど、女系容認に(もちろん臣系も)批判的な立場からすれば、足を引っ張ってくれるなよ、と言いたくなる。
 と、どこの誰かもワカラン奴のblogに書いてあっても「根拠」にならんけど、それだけに、ネット上での言説は、その内容だけが評価の対象なのだ。そこに、だれぞがこう言ってるというということを引いてくると、余計に引き方の迂闊さが目立つわけである。

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Commentaires

最近、web2.0って壮大な釣堀かもと思い始めている私です。
とりあえずヨシダソースはお試し版をだしてほしい。美味しいかどうかわからないのでどんな風に使えるのやらってところです。
しかしあちらは、うっかりネタを書くとマジレスされるのが難点ですね。グンクツではなくてグンカですっていわれちゃうし。

Rédigé par: 瑠璃子 | le 28/09/2006 à 07:37

 マチガイは誰にもある。けれどもバチガイはいけません。ここは、ネタに見えてもマジで書いてる場ですよ、という意味かも知れません。
 前世紀からネットをやってる人は、ネット上で半角カナを使っちゃいけませんというよい子のお約束を知っているわけですから、あえて使っているのは「マチガイと分かっているんですよ」というサインなのですよ、と解説してもいいでしょうけど、あちらなら、「前世紀からの伝統が通じない」と嘆く方がいいんでしょうか。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 28/09/2006 à 10:04

 ひょっとしたら、「数学者の文化論」を持ち出したのは「皇室の専門家もいない皇室のことを決める会議」を皮肉るための「ネタ」だったのか。
 ミトコンドリア説というトンデモでY染色体説と共倒れに持ち込んだみたいな自爆攻撃なのかな。
 

Rédigé par: 南郷力丸 | le 28/09/2006 à 12:28

ツボネタを隠すためにBSEネタをいれる、というのに近いかもしれません。

Rédigé par: 瑠璃子 | le 28/09/2006 à 14:49

 BSEネタじゃ足りないなぁ。金融屋ネタ、愛人覚醒剤ネタも入れよう。商工ファンドネタも。。。。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 29/09/2006 à 00:29

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