ドリーマーズ
ベルナルド・ベルトルッチ監督作品。タイトルが「ドリーマーズ」というのだから、夢を見ている人の話だ。男女の双子の兄弟が見ている夢に、アメリカ人留学生が「割り込んでくる」という話。
観ている夢は3種類。ひとつはフィクションという夢。この3人は映画ファンというかマニアというか、映画のシーンを再現しては作品を当てあうというゲームに興じている。別世界の夢。もうひとつの夢は、現実になってはいけない夢。双子の男女は性的な関係への夢を見ているが、現実にはしてはいけないし、ならない。実現できない禁忌だから夢でしかないのだけれども、夢への「寸止め」を楽しんでいる。さらに、もうひとつの夢が、社会への夢。それで1968年のパリの5月革命前夜が背景になっている。おそらく、社会への意識というものがありそうもない双子にとって「5月革命」というのは一種の「夢の実現」というだけのもの。
そして、割り込んで来た留学生というのは、現実の世界に生きる人。現実と離れた夢は夢として共有できる。現実化可能な性的な夢は現実化して共有してしまう。そして「5月革命」に対しては共有しない。
こうした、夢に生きる双子と、現実に生きる留学生の間での、夢をめぐる物語、と理屈で言えばなるんだろうけど、それが映画が留学生の視点で構成されているから、そう思うのだろう。たぶん、この双子には、別の物語が見えているんだろうなと思わせる。
「夢見ること」が「危うい」がゆえの美、を描いた映画のように感じられる。絵面もきれい。
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