« アンケート | Accueil | のぞき »

14/02/2007

しつこく「産む機械」

 しつこいようだが、このblogで政治的な主張を行ったり、見解を述べたりすることはない。
 それで、しつこいこうだが、「産む機械」の話である。というのも、この件が「政治的」な問題とは考えていないからだ。単に、政治に携わる人びとを中心に展開され、政治に影響を与えていることだが、政治的なことを書く気はない。
 例えてみるなら「安倍と谷垣のどちらを首相にすべきか」は政治的判断であり、政治的な見解である。でも「安倍と谷垣のどちらの能力が優れているか」というのは政治的な判断でも見解でもない。安倍を支持した人も了解している共通認識があるようなものだ。
 それで、この「産む機械」発言とその反応に感じた「気持ち悪さ」というのも、政治的な見解とは関連しない、むしろ、この発言にあるロジックの気持ち悪さなのだ。

 さて「産む機械」というフレーズはインパクトがある。だから、この言葉だけが取り上げられているように感じて、文脈で判断すべきと書いている人は多い。その通りと思う。小泉さんの手法が「ワンフレーズ」とさんざんに批判されたのは記憶に新しい。当然、小泉「ワンフレーズ」を批判していた人たちは、「産む機械」という「ワンフレーズ」をピックアップすることにも批判的だし、政治手法として、小泉「ワンフレーズ」を許容できると思う人は、このような批判はしない。。。。はずだ。
 私も、最初に、この話題に触れた時にも書いたように、単に「機械に例えた」から問題じゃないと思っている。「例えられるケース」と「例えられないケース」があって、その後者じゃないかと、柳沢氏の話した文脈や謝罪の内容を知って思ったわけである。
 アベレージバッターを「安打製造器」と言ってもいいが、三振の多いロングヒッターを「扇風機」と言うと失礼というように、褒めるつもりか、けなすつもりかということではない。人間の「生理」ではなく「意思」の部分を「機械」に例える気持ち悪さだ。
 「産む」というのは、「産みたい」という「意思」と生理的なメカニズムによるものだ。メカニズムと書いたように、わたし自身、後者は機械に例えているし、それが問題とは思わない。もちろん、人体を機械に例えるのは一種の「唯物論的」発想だと、宗教的見地などから、それすら否定する人はいるだろう。例えば、
 八木洋八:人間を機械に例えるのは、唯物論なんですね。
 中川秀次:そうです。共産主義です。
 八木洋八:やはり柳沢氏は間違いなく共産主義者です。
 中川秀次:そういう人は閣僚に相応しくないですね。
というような漫才を行う人もいるだろうけど、私の場合、生理機能を例えるなら気にならない。
 生理的な機能は例えても問題はない。けれども「産みたい」「産みたくない」という意思の問題を、機械に例えるのは気持ちが悪い。柳沢は、まず「なかなか今の女性は、一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。」ことを前提にしている。正確には「産む意思を持ってくれない」わけである。意思の問題なのに、その後に機械に例えるから、気持ち悪く感じる。
 柳沢発言を批判する方も、「産む」意思があるのに、産むメカニズムが機能しなかった政治家の発言は取り上げられる。じゃあ「産まない」という意思によって、産むメカニズムを機能させなかった人たちは、どう思っているんだろう。該当するかどうか詳しくは知らないが、山崎拓や杉村大蔵はどう思ったのだろうか。さらには、「産む」「産まない」という意思が固まっていた人だけでなく、最も重要だと思うのは、その間で悩んだ人たちの場合だと思うのだが。
 「産む」意思の問題をすっ飛ばして機械に例えた柳沢はもちろんだし、その影響で、発言への反応でも、意思の問題をすっ飛ばしているようで、とても気持ち悪い。
 山崎拓や杉村大蔵の意見はわからないが、中川(薬)は、ご自身のサイトに意見を載せているそうだ。といっても、柳沢発言は「極めて技術的な人口推計の説明をする時に、できるだけわかりやすくしたい」ためで、「機械に例えたこと」は問題だが、それは謝った、個人の意思の問題ではなく、統計上の集合的な概念として例えただけという。自民党の島根県議は、今さら、人口推計の説明を、わかりやすくしないといけない程度だと柳沢は思ったらしい。
 地震対策と温暖化対策は根本的に発想が違う。現象が止められないからどうするか、現象を止めるにはどうするか、少子化対策はどちらなんだろう。
 結果として「たくさん子どもを産んでくれない。」がある。原因として、「産む意思を持ってくれない」がある。地震対策型なら「たくさん子どもを産んでくれない。」から、どうするかの対策だ。温暖化対策型なら「産む意思を持ってくれない」から、どうするかの対策だ。
 なるほど、中川(薬)の言うように、前者だとするならば「産む」意思とは無関係に、現象だけに注目しているわけだから、機械に例えることだってあるだろう。じゃあ、「1人頭で頑張ってもらうしかない。」ってのは何なんだ。「大規模地震は必ず起きるから、地震に遭わないよう、頑張って貰うしかない」というような気持ち悪さだ。
 女性に失礼とか、そういう問題よりも、全く意味が繋がらないという、とっても安倍っぽいところが、私としては気持ち悪いのだ。
 それでも、柳沢に好意的に考えれば、景気浮揚策に例えるなら、「なかなか今の人は、ものを買ってくれない。買う機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、・・・機械と言っては申し訳ないが・・・機械と言ってごめんなさいね。・・・あとは買う役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない。」ということが言いたかったのかと考えることができる。家計消費の拡大には、経済格差の拡大を是認するということだ。少子化対策として、「産める」層と「産めない」層の格差拡大を考えているということだろうか。それはそれで、問題だと思うが。

|

« アンケート | Accueil | のぞき »

Commentaires

TBありがとうございました。
別のやつをこちらへつけようかなぁ(ケンシロウ)と思ったんですが、ちょっと合わないのでやめました。

やっぱ「産める層」と「産めない層」の格差拡大じゃないですかね? (^o^)
2人以上産みたいところを手当てしようというんですから、2人以上育て上げられる層だけをターゲットにしたいです、ってことですものね。

Rédigé par: アキラ | le 17/02/2007 à 00:37

 一方で、首相と国民の知的格差をなくす「教育改革」ですから、安倍並にしないようにと育てるには、ますますコストが拡大しますからねぇ。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 17/02/2007 à 00:57

まいったな〜、わたくしそんなに税金払えないしな〜・・・
ところで、南郷力丸さんのところは、本文中にこのエントリーへのリンクがないと、TBがつかないようになってるんですか?

Rédigé par: アキラ | le 17/02/2007 à 11:40

 別にリンクがなくても、トラックバックは可能です。たまに反映に時間がかかることがあります。

Rédigé par: 南郷力丸 | le 17/02/2007 à 13:57

Poster un commentaire



(Ne sera pas visible avec le commentaire.)




TrackBack

URL TrackBack de cette note:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23135/13905945

Voici les sites qui parlent de しつこく「産む機械」:

« アンケート | Accueil | のぞき »