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10/06/2011

知らないと知ってる。知ってると知らない。

 ブクマ経由で、こういうのを見た。「あほか」ですますのもナンなんでちょこっと書いておく。
 産経はかく書いておられる。
 天皇陛下は初代の神武天皇から数えて第125代の天皇である。それでは区切りとなる50代目の天皇はといえば、西暦794年に平安遷都を行った桓武(かんむ)天皇だ。さらに第100代は南北両朝の合一がなった後小松(ごこまつ)天皇ということになる。以下ゴミ。
 第125代というのは知らなかった、というかはるか昔、当時は何代か知ったことがあったものの、とっくに忘れていた。
 それで50代目について「人皇50代云々」という浄瑠璃の文句があったけど何だっけと調べてみた。結果は「壺坂観音霊験記」の山の段のアタマ.。「辿り行く、伝え聞く壺坂の観世音は人皇五十代、桓武天皇奈良の都にまします時」だった。そら覚えがあるはずだ、というより、これは忘れちゃいけないだろ。
 ところが調べた時にわかったのだが、「人皇五十代」というのは桓武天皇だけではなく、平城天皇、光仁天皇と書いてあるものが、各地の神社の由緒にあるようだ。なぜかというと、神功皇后、大友皇子、淡路廢帝をカウントしたりしなかったりで変わってくるらしい。そして、第125代というのは、神功皇后をカウントせず、大友皇子、淡路廢帝をカウントした結果だそうだ。そして神功皇后をカウントしなくなった結果、西暦でいえば200年から269年までは、125代の天皇の空白期間であり、天皇がいなかった期間ということになる。
 ついでなので、第100代(50代に第をつけなかったのに第100代と書いたのは産経の元記事がそうだったから、そうしただけ。根拠があるからか、校閲部がないからか、わからない)の後小松天皇も見てみた。弘和2年(1382年)12月28日、父の後円融天皇の譲位を受けて6歳で即位したそうだ。当然、後円融天皇というのは99代だと思うだろうがそうではない、後円融天皇は125代に含まれていない。北朝の天皇だからだ。辻褄あわせのために、後小松天皇即位も南北朝統一の1392年ということにされているようだ。
 125代というのがフィクションであることは誰でも知っている。フィクションであっても、フィクションとして共有されているから、現実の根拠となりうる。ところが125代というフィクションを共有するならば、天皇には不在期間があった、現代までの5分の4の天皇の正当性は問題がある、こういうことになる。歴史や皇室に少しも関心のない人でも、簡単に調べられることである。
 そう考えると「存じません」と答えた枝野氏は本当に知らなかったのだろうか。保守政治家としては、この125代というフィクションには触れたくないから、そう答えたのかも知れないと思った。少なくとも歴史の専門家は「天皇の代数は難しい。125代目と言えば簡単だが、昔からいろいろな数え方が存在する。」という見解のようだ。
 質問した山谷えり子は野党の気軽さで、無責任に質問したのかもしれないけれど、政府の一員としての官房長官じゃ、触れたくないことなので「存じません」と答えたという可能性も、また、多少とも歴史や皇室に関心があったために、答えられなかったのかも知れない。
 東京電力の原発事故に際して、散々デマを流したあげくに、Twitterのホームに「私は原子炉工学の専門家でも放射線の専門家でもないので、私の情報をもとにした行動によっていかなる損害が生じても責任をもちません」と書くに至ったセンセイがいる。別にデマを流そうとしたわけじゃなかろうが、知識がない、自分が無知と言うことさえ知らないレベルだったのでそうなったんだろう。一方、多少なりの知識があれば、データが不足してたり、いくつもの可能性があるので、断定的なことは言えないということも多い。無知ゆえにわかったつもりになる、多少でも知ったら単純には答えられなくなる、こういうことはよくある。
 山谷えり子といえば「わたしのかんがえたけんぽうぜんぶん」を国会で披露し、そもそも「憲法」というのは、ということも知らないのかと失笑を買った人だ。歴史や皇室への無知ゆえに、無邪気に「知ってるか」と質問したんだろう。枝野氏は、ある程度の知識があるゆえに単純に答えられるものではなかった、あるいは、自身の立場から「存じません」と答えたのかもしれないな、そういう可能性はあると思う。そうならいっそのこと、現行の125代の根拠を判断した人に習って、「文学的方面の事はあまり勉強していないのでよく分かりません」とでも答えておけばよかったのに。
 枝野氏がどうだったかはわからない。ともかくも、寝た子を起こすつもりでも、藪を突いて蛇を出すつもりでもないのなら、山谷えり子も少しは調べてから質問すればいいのに。

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